渡る世間に…
「渡る世間に鬼ばかり」はドラマのタイトルとして有名な言葉。
これって“渡る世間に鬼はなし”を皮肉って付けたわけですけど、最近の若い方達って、どうも「鬼ばかり」の方を真実だと思っちゃってるんじゃない?と心配になる時があります。
母さんはついこないだまで、とある営業外交員をしていました。
コロナ禍以前の話ですので、知らないお宅のインターホンを鳴らしては出てきた方に「アンケートお願いします!」とか言って回ることもある仕事でした。(この仕事が良いとか悪いとかは、ここでは関係無いので言及しないようにしましょう)
このインターホン攻撃、当然ほぼ9割は不在または居留守でした。そして出てくる人のまた9割は、私の顔を見て『あ、勧誘か』と判断した途端に話も何も聞かずにドアを閉める人たちでした。
そして残りの一旦は話を聞こうとしてくれる人は、すごく年配の方かすごく若い方、と両極端でした。平日の昼間に自宅に居るのですから中堅層に合わないのも当然です。
そして更に当然ながら話を聞いた後には、皆さん一様に「結構です」とか「間に合ってます」とか言ってアンケートを書いてもらえることは無い、というのが母さんの虚しい仕事ルーティンでした。訪問が上手な営業向きの方もきっと存在するからこそ定着してる営業方法でしょうけれど、もう笑えるほどに母さんは訪問営業が下手でした。
この時から薄っすらと「???」と感じていたのが、
若い世代の方たちの「個で生きてく」という雰囲気…。
営業相手にドライなのは全然普通だと思うのですけど、アンケートの社会保障に関する質問や将来への不安、といった項目に寄せようと母さんもそれに似た質問をした時に、皆さん『よく知らない』と言いつつも、誰かに相談している気配も無いんですよね。親御さんとも何も話したことが無さそうな方も多くて…。
まぁアンケートに名前も書きたくないと言われるオチですから、その後に色々と教えて差し上げるような関係にもなれず、ただただ心配になってしまう…、そんな事ばかりでした。
不意のインターホンにドアをうっかり開けちゃう1割のうち、話まで聞いちゃう更にその1割という、ごくごくわずかな人達についてしかリサーチしてないので、果たしてここで堂々と話のタネにして良いものか?と思える程度の経験談ではありますが、着実に歳を重ねてすっかりオバサンになって、同じくオジサンと化した同業者達とも話す中で同じような思いに度々ぶつかります。
『分からない時は聞けよ〜、っても聞かないで間違えるんだよ』とか
『そういやアイツ自分のこと全然教えてくれないんだよね』とか、
『先に言ってよ〜、て思っちゃう』
『辞めたいなんて急に言われて驚いた』
『なんで相談してくれなかったんだろう』
とか…
周囲に何も相談せず世間話すらせず、自然と距離を置いて消えていく若者が想像以上に多く居るような気がします。
実際に上司とウマが合わないだけって事もよくありますし、無理する必要はありません。
でも同僚や近い先輩にだったら?それでも何も相談できない人が、妙に多くありません?
何か聞いたら迷惑じゃない?
いやいや話したいと思えるような間柄じゃないんだよね。
別に話すような事はありませんよ、てか時間の無駄だし。
なんて勿体ない!!!!
胡散臭いオッサンオバサンにしか見えないかもしれないけれど、周囲の中堅層はその仕事についてだけでなく社会人としても貴方より多くの知識を持っています。
話しかけさえすれば、検索で判るような薄っぺらなことだけじゃなく、その人の経験則からのアドバイスも期待できます。
怖そうに見えても案外その機会を待っているかもしれませんよ。
渡る世間は一人じゃなかなか安全に進めません。だからあざとくても何でも誰かの知恵や力を始めはアテにしちゃいましょうよ。
鬼は絶対居ないと断言は出来ませんが、鬼だとわかった時に逃げれば良いだけです。
ほら、最近ちょっとモヤってる事、あるんじゃないですか?
あ、あの先輩、今ちょうど飲み物買ってますよ。話しかけるチャンスですよ。
ほら、ほらほらほら!
“仕事を頑張る”ってそういう事も頑張るって事、ですよ!
頑張れ!!!!