こばち母さん知恵袋

映像業界のすみっこで働く“おせっかい母さん”がそっと教えたいアレやコレ

確定申告ノススメ やるっきゃ無い!編

ここまで何度かに分けて、確定申告の必要性や準備のやり方を説明して来ました。

無理しない範囲で出来ることをコツコツと、というお話も書かせていただきました。

 

コツコツやっていたあなた、偉い!!!

さぁ、ついに本番です!

 

改めてお尋ねしますが

帳簿はつけましたか?

書類に記入するには帳簿が12月31日で締められて、決算、つまり収支各項目のそれぞれの合計を出す作業が済んでいることが大前提となります。

まだという人は形式はどんなものでも構いませんから、早めに帳簿をまとめましょう。 

通常、確定申告の期間は2月16日から3月15日と定められています。この間に書類提出が出来るように間に合わせましょう。

申告書は、2月に入ると各自治体の区役所や税務署で配布されますし国税庁のHPなどからもダウンロードが可能です。

所得税の確定申告|国税庁

ちなみに母さんは毎年、このHPにある「確定申告書の作成」ページを利用しています。

紙でやるのと同じデザインなので勝手が違うということも無いですし、特に算数が苦手な母さんにとっては、数字を入力するだけで自動計算をしてくれるので間違いが少なくて安心です。そして計算が済んだらそれを印刷して紙の申告書として提出します。

そうすると税務署の受取りのハンコを控えに押してもらえますし、添付漏れなどが無いか?を窓口でも確認してもらえるので確実だと思っています。

 提出については、税務署に持っていく方法だけではなく、郵送での提出、オンラインで申告するe-Taxも用意されています。今年からスマホでも申告が可能と聞いてますが、ここでは理解がしやすいように紙の申告書で説明していきますね。

 

 

映像業界でフリーランスとして働いているなら、

個人事業主なので確定申告書B、

ここで説明しているのは白色申告なので一般用の収支内訳書、をご用意ください。

 

※立場が違う方はご自身にどの様式が必要か?今一度ご確認ください。

※農業での収益がある方は農業用の収支内訳書、不動産での収益がある方は不動産の収支内訳書が必要となります。

青色申告の方はその種類によって必要書類が違います。税理士さんに確かめましょう。

 

さて、全ての用紙を見た時、順番どおり見ようとするとどうしても第一表から見てしましいますが、これは主に様々な計算を最後に取りまとめて税務署の人がひと目で確認できる仕様になっている書類です。

記入は主に逆順でやっていくほうが計算が楽だと思います。

まず収支内訳書を仕上げます。収支内訳書を仕上げるために必要な内訳計算が他の場所にある時もありますから3枚を行ったり来たりしながら仕上げる感覚になります。

そして第二表、その後に第一表を仕上げます。

 

 

  1. 収支内訳書

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収支内訳書 表面

まずで示した欄に申告する年度、提出する日付、そして申告する年月日を記入しておきましょう。

2020年について確定申告する場合、【令和2年分収支内訳書】

新卒などではなく前年度以前から開業していた人は期間が【自1月1日至12月31日】です。

申告する年月日は税務署に持っていく日付が適当です。投函する方は投函する日付を記入しましょう。

そして最初に事業主としての情報を記入します。(青枠で示した部分です)

申告書の第二表にも住所氏名などを書く欄がありますから同様に記入しましょう。

事務所などを構えていないなら自宅が事業所住所となります。

屋号雅号は仕事上で特定の呼称(店名や芸名、ペンネームなど)がある場合は記入しますが空欄でも大丈夫です。判断基準として、個人事業届けを出した時の屋号がある方、領収書などの宛名が本名と違う方は記入しておいたほうが良いでしょう。

 

 ここまで書いたら裏面に行きましょう。

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収支内訳書 裏面

黄緑色の枠で示した「売上(収入)金額の明細」の欄を記入します。

支払い調書などを参考にしながら取引先ごとに取引先名とその住所、税込みの支払い金額(手取額ではありません)を記入して最後に合計額を出します。

その合計額が表面の ①【売上金額】となります。

取引先が多くて書ききれない場合は別の用紙[所得の内訳書]を使用します。

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/yoshiki/02/pdf/001

この場合でも合計額の欄はそれら全て含めて計算した数字を書いておきましょう。

また同様の欄が確定申告書第2表にもあります。この欄も同時に埋めましょう。

 ここでは合計額は売上ではなく源泉徴収額の合計を記入します。ここで出した数字が第一表の(48)欄に書く数字です。

 

収支内訳書に戻りましょう。

 

「売上金額の明細」欄のとなりにある「仕入れ金額の明細」

この欄、母さんは使用することがありません。空白のまま提出しています。ここだけでなく自分と関連していない欄は埋める必要がありません。提出時の空欄もたくさんあります。

この欄について説明だけしておきましょう。

もしも、その事業が材料を仕入れて加工したものを販売するものだったら、主だった仕入れ先があるはずです。それを帳簿を確認して仕入先名と住所、税込みの仕入れ金額を記入して最後に合計額を出します。

これが表面 ⑥ の【仕入れ金額】になります。

売上、仕入れ、ともに食料品が含まれているとその消費税は8%の軽減税率のはずですから対象となるぶんの額だけ記入しておく欄もあります。

映像関連だと主にその人の技術そのものに支払われているので、ここに書くような仕入先があるのは“完成品を小売り”している人です。あるとすれば、仕出し屋さんや美術小道具関連の作りもの屋さんかな?と母さんはポスプロ経験しかない人間なので想像するだけなのですが…

 

仕事に必要な買い物をスーパーなどの量販店や販売店から購入した場合、それは経費の部類です。

 その経費の記入に移りましょう。

裏面 紫色の枠で示した「減価償却費の計算」を先に記入しましょう。

減価償却というのは、その物品の価値は経年と共に失われて行くという前提で、購入金額をその物品使用の時間経過に合わせて分割払いしたことにする考え方です。

経費支出の中で、ひとつで10万円以上(特定の中小企業者等なら30万円以上)の支出については、原則として減価償却費として処理しなさい、と決められています。

この計算が面倒で敬遠されがちですが、例えば車など高額なものでも未来への投資として奮発して購入した場合、額が大きいが為にその年の納税額を全て還付されても足りない程の経費支出となってしまいます。それを減価償却費として、数年間に分けて申告する事で、数年間に渡って納税額の軽減(還付)が可能になるのです。他にも減価償却をする理由があるかもしれませんが、超零細個人事業主の母さんにはこの考え方で十分です。

旧定額法を用いれば計算はそう難しくはありませんし、物品ごとの耐用年数と償却率などはこちらを見れば分かります。

【確定申告書等作成コーナー】-減価償却費

https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/shotoku/shinkoku/070412/pdf/3.pdf

 

最初の年に計算しておけば償却期間中の申告時は前年の計算を元に記入するだけですし、覚えれば怖いものではありません。頑張ってみてください。

 

減価償却費の合計を出したらそれが表面の (13)【減価償却費】です。

 

「 地代家賃の内訳」※合計額を表面 (15)に記入

地代家賃とは土地や家の賃借料のことです。(自社ビルや持ち家は該当しません。)

自宅と別に借りている事務所や倉庫などは勿論ですが、自宅兼事務所の場合も按分でその賃借料のうち仕事に使用している部分を必要経費として申告できます。

支払っている相手(大家さんや不動産屋さん)の名称を記入してください。賃借物件の欄には賃借している物件の用途(事務所、倉庫、事務所兼自宅など)を記入します。

本年中の賃借料・権利金等では上段が権利金(敷金礼金)や更新料、下段が賃借料となります。

※事務所兼自宅の事業(事務所)部分の按分の仕方ですが、使用スペースが区分けされているならその使用スペースの広さが全体のだいたい何%か?で按分できます。区分け等せずに仕事に使用している場合は、1日24時間のうち何時間仕事しているか?で按分するのも良いでしょう。※敷金が20万円を超える場合は同じ経費算入でも仕訳項目が変わる可能性がありますので気をつけましょう。

この地代家賃には持ち家などは該当しませんが、それを購入した費用のうち事業部分については減価償却費として必要経費とみなすことが出来ます。また、ローンを組んでいる場合はその支払いのうち利息部分が利子割引料として同じように必要経費となります。

ただし、住宅ローン控除を受けている場合、その事業割合が50%を超えるとその控除は受けられなくなるので注意が必要です。

所得税法では事業割合を10%以下とすると、住宅ローン控除を全額受けることができると定められていますから、事業割合をどのくらいで申告するのか?は始めにローン控除を受ける際によく考えて決めましょう。

 

「利子割引料の内訳」※合計額を表面 (16)に記入

先に述べたように、ローンなどについてはその利息について利子割引料として経費とすることが出来ます。住宅ローン、自動車ローン、銀行融資などがこれに当たりますが、金融機関に支払っているものはこの欄に記入する必要はありません。

この欄に書くのは、例えば知人からの借り入れや販売店へのローン払いなどです。

相手の住所氏名(店名)と期末(12月31日)時点でのローン残高、支払いのうちの利息額の合計、そのうちの事業部分として経費となった金額をそれぞれ記入しましょう。

 

 そしてこの収支内訳書の裏面には最後に【本年中における特殊事情】の記入欄があります。

これは長く確定申告している中で、その数字に大きな変動がある年もあるかもしれません。大きな機械の購入や事務所移転、売上の激減や激増など…

今回はコロナ禍もあって収益が大きく変わった方もいるのではないでしょうか?

その理由を書いておいたほうが税務署の担当者を混乱させずに済むので、何か思い当たることがある人は、その理由を記入しておきましょう。

理由が明確なら、もしや?と “税務署にあらぬ疑いをかけられる” ような事は起きないでしょう。

 

これで収支内訳書の裏面が埋まりましたね。

表面に戻りましょう。

きみどり色の枠で示した ①〜⑩までが収入額を決定するための欄です。

 裏面で既に記入している ①【売上金額】、取引先からの報酬のほかの収入(本業以外のバイト代など)についても記入が済んだら、その合計が ④【収入金額の計】となります。

仕入れがある方は ⑥【仕入金額】の裏面の合計を転記。

仕入金額】の他にも前年からの在庫の繰り越し分を合算、そこから期末の在庫を差し引いて、実際の【差引(売上)原価】を記入します。

 これで【収入金額の計】から【差引(売上)原価】を引くことで本当の売上 ⑩【差引金額】が記入できます。

 

※コロナ関連で「休業協力金」「持続化給付金」を受け取った方は、個人事業主ならここの「その他の収入」が該当欄となります。

 

ここから必要経費を項目ごとに記入していきます。

 

(11)〜(16)までは主だった経費の記入欄です。

(13)【減価償却費】 (15)【地代家賃】 (16)【利子割引料】はここでは裏面で計算した合計を転記するだけなので楽ですね。

(11)給料賃金・・・雇用主として誰かに給料を支払っているなら緑枠の「給料賃金の内訳」欄を埋めてから合計額を記入しましょう。

(12)外注工賃・・・外部に発注して工賃を支払った場合があるならこちらの欄に合計を記入します。

(14)貸倒金・・・・あまり使うことが無い欄なのですが、例えばお金を払って発注したにもかかわらず品物が届かずに返金もされない場合、それは貸倒金と言えます。帳簿には当初は売掛金や前渡金と記載しておきますが、回収されなかった場合は貸倒金として記載して帳簿を締めます。そういった債権がある場合はその合計をこの欄に記入しましょう。

 

(イ)〜(レ)はその他の経費を記入する欄です。

帳簿を確認して、該当項目にそれぞれの合計額を記入します。

オレンジ色の枠で示した部分はその事業において独自の仕訳科目がある場合に利用します。

科目を手書きで書き込んで他と同じように合計を記入するだけです。

 

 専従者控除を受ける方は緑色の枠「事業専従者の氏名等」に必要事項を記入した上で、(20)「専従者控除」欄に控除額の合計を記入してください。

これと同様の欄が申告書第二表にもあります。※印で示しておきました。こちらにも必要事項を記入しましょう。

 

白色申告で認められている専従者控除は、支払った賃金の額等とは関係なく、一定金額での控除が認められています。事業専従者とは、白色申告を行う納税者と生計をともにする配偶者や15歳以上(12月31日時点)の親族で、年間6ヶ月以上、納税者が営む事業に従事している人をいいます。

親族への賃金給与は経費にならない代わりにこの控除があります。

配偶者控除や扶養控除と同時には利用できません。どの控除を申告するかは決算した後に収入などを見て選択して下さい。

 

控除額は次のイ又はロの金額のどちらか低い金額となります。

イ)事業専従者が事業主の配偶者であれば86万円、配偶者でなければ専従者一人につき50万円
ロ)この控除をする前の事業所得等の金額を専従者の数に1を足した数で割った金額

そして、事業専従者に該当するか否かは、以下のように判定します。
イ)白色申告者と生計を一にする配偶者その他の親族であること。
ロ)その年の12月31日現在で年齢が15歳以上であること。
ハ)その年を通じて6月を超える期間、その白色申告者の営む事業に専ら従事していること。

 

※ここにある“専ら”というのは主に申告者の事業に従事していることを指していて、他の会社で給与を貰っていたり、そもそも従事していない家族などは該当しません。

 

 

ここまで来ると、収支内訳書については殆どの項目が埋まってきているはずです。

(17)〜(21)の項目についても、用紙に書かれている項目ごとの計算式に従って算出した数字を記入するだけです。

 

もしや税理士などにこの確定申告を依頼した場合は緑色の枠で示した部分も記入があるはずですが、税理士に頼んでいるということは必要項目はプロがやってくれているのでここで母さんが教える必要は無いでしょう。

帳簿には税理士などに支払った報酬について「支払い手数料」や「支払い報酬」として仕訳して記帳しておきましょう。

 

 

2 確定申告書B第二表

それでは、申告書の第二表から仕上げていきましょう。

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確定申告書B 第二表

青枠の住所・屋号・氏名は書いてありますか?

で示しましたが、所得の内訳と源泉徴収の合計については収支内訳書を作りながら記入ができているかと思います。

他の収入、不動産などを売却した場合の譲渡所得、満期保険金や競馬や懸賞の賞金を受け取った場合の一時所得がある人は、それについて記入しましょう。

また、給与所得者だけど副業などについてコロナ関連での持続化給付金を受け取った方かここの一時所得の欄に書き込みましょう。

 

「特例的条文等」の欄ですが、何か特例としての控除を受ける場合はここに記入します。メジャーなのは住宅ローン控除でしょうか。

母さんの場合も『住宅借入金等特別控除の控除額の特例』という長々したローン控除を受けています。書き方はこの場合は「(特)平成〇〇年○月○日居住開始」となります。

そのローン控除の名称がわかるように(認)(断)(増)(特)といった一文字と居住開始年月日を書くのですね。

ローン控除の他にも特例がありますがその場合は措法26とか所法57の2といった形で、その条例の条文番号などを記載すれば良いようです。

 

 

赤枠は控除枠がある事柄に関する部分です。

 一緒に暮らす家族・扶養している親族などがいる方(別居でも未婚未就労の子や生計を助けてあげている老人などは扶養対象になる場合があります)はその氏名やマイナンバーを記入します。

 

収支内訳書で事業専従者の記入があった人は、こちらにも事業専従者について書く欄がありますから記入しましょう。

 

保険料控除に関しては以前書いた記事がありますのでご覧ください。


co-cobachi.hatenablog.com

 

 緑色の枠で示したのは寄附金控除に必要な欄です。

ふるさと納税など、寄付をしたことについて控除を受ける方はこの欄に記入しましょう。

寄附先から送付された受領書に基づいて寄付先の名称や住所、金額を書き込みます。

ふるさと納税に限らず、赤十字や控除対象となる寄附をした方は、それぞれ該当項目に記入しましょう。

No.1150 一定の寄附金を支払ったとき(寄附金控除)|国税庁

No.1155 ふるさと納税(寄附金控除) |国税庁

 

 

紫色の枠で示した部分ですが、この確定申告で支払額が決定するであろう住民税の支払い方法を選ぶ欄です。個人事業主の母さんは「自分で納付」にマルをします。通常は会社員が特別徴収を使用します。

 

3 確定申告書 第一表

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確定申告書B 第一表

 いよいよ、申告書の第一表です。

ここまでに埋めてきた欄もありますが、ひとつづつ確認していきましょう。

住所・氏名・屋号などの記入は大丈夫ですね?マイナンバーも忘れずに記入しましょう。

 

(ア)~(イ)は収入についての欄です。手取り額などではなく総額を記入します。

主にきみどりいろ枠で示した欄に記入することになります。

映像業界で働く個人事業主が働いて得た収入は全て (ア)【事業収入(営業等)】です。細かなバイトや手伝いなどの収入もこれに含まれます。そしてここは既に収支内訳書を書く時に計算が済んでいます。収支内訳書の④「収入金額の計」に書いた数字を転記しましょう。

 

(キ)~(ケ)の欄、事業収入の他に国からの年金や生命保険の積立金を年金型で受け取っているならそれは雑所得です。

 

新型コロナウイルス感染症の拡大によっての「持続化給付金」を受け取った方で、雑所得者の方は、【雑所得(その他)】として申告しましょう。(令和3年2月現在)

※コロナに関わらず、他にも給付金や助成金を利用した方は申告までに課税対象かどうか?確認しましょう。

※コロナ禍で配られた国民1人当たり10万円の「特別定額給付金」は非課税です。

 

(コ)~(シ)、第二表にもあった譲渡所得や一時所得についてここでも記入欄があります。同じ内容を転記しましょう。

 

「収入」と対になる形で(1)~(12)「所得」の欄があります。

収入と所得、同じように思ってしまいますが大きく違います。

収入というのは受け取った総額、収入から必要経費を差し引いたものが所得です。

青い枠で示してますが収入欄で記入があった項目については、その数字からそれぞれ経費を差し引いた金額が記入されることになります。

(1)【事業所得(営業等)】には先に収支内訳書で計算した (21)「所得金額」を転記しましょう。

他の項目(7)~(11) についても、経費を指しい引いた額がいくらなのか、それぞれの収入についての明細や支払い元から送付されてきた書類などで確認しましょう。その場合に添付が必要な書類が増える時もありますから気をつけましょう。

 

枠線で示していませんが、配当金や利息での収入・所得について記入する欄もあります。株や公債・社債などの取引が無い母さんは使用したことがありませんが、ある程度以上の金融資産の運用益について記入するものです。申告が必要と思われる方はきちんと税理士さんなどに相談されるのがいいでしょう。

 

ここまで来ると自分の総合的な所得が計算できます。

(1)から(11)までの合計を (12)「所得の合計」に記入します。

水色の枠で示した欄、これが1年間の自分の純利益、“儲け”というわけです。

 

本来であればこの純利益に対して定められた税率を掛けて支払うべき税金の額が決まりますが、みんな当然のことながら社会保障に対して保険料を支払っていたり、自分以外の家族を養っていたり、暮らしの中で様々な社会貢献を果たしています。

そこで国が細かく項目に分けて控除額(儲けから差し引いていい金額)を設定してくれています。個人事業主が確定申告をやっておいたほうが良いと感じる部分もここにあります。

税金を安くしてくれるのですから利用できる控除枠があるなら多少めんどくさくても事前に提出書類などを揃えて積極的に申告しましょう。

 

主だった控除枠を赤い枠で示しました。

(13) 「社会保険料控除」は健康保険料・介護保険料・国民年金国民年金基金などの全額を記入します。

(14)~(16) の保険料控除については申告書の第二表に記入した支払い保険料や、控除証明書を確認してから、それぞれの控除額を計算して記入しましょう。

地震保険料の控除額の上限は5万円です。5万円を超えないものについてはその金額を、超えるものについては上限の50000を記入してください。

 

生命保険の控除額の計算には下記の表を参考にしてください。

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(17)~(23) はその世帯の状況や家族の年齢や所得に応じて、条件を満たしていれば利用できる控除です。その家族の状況、年齢や収入によって控除対象かどうかは違ってきます。第二表に記入した家族・親族について、該当する家族がいるかどうか?控除額はいくらか?は項目ごとに国税庁のホームページなどで確認しましょう。

No.1191 配偶者控除|国税庁

No.1195 配偶者特別控除|国税庁

No.1180 扶養控除|国税庁

No.1182 お年寄りを扶養している人が受けられる所得税の特例|国税庁

No.1160 障害者控除|国税庁

No.1171 ひとり親控除|国税庁

No.1170 寡婦控除|国税庁

No.1172 寡夫控除|国税庁

 

(24)「基礎控除」・・・これまでは一律38万でしたが、令和2年分の申告から所得に応じて控除額が変わるようになりました。所得が2400万以下の人は控除額が48万です。それ以上の所得の方は国税庁ホームページ等で確認しましょう。

No.1199 基礎控除|国税庁

 

(25) ここまでの控除額の合計を記入します。

 

(26) 「雑損控除」・・・災害又は盗難若しくは横領によって、資産について損害を受けた場合等に、一定の所得控除を受けることができます。第二表に必要事項を記入して、控除額を計算して記入します。

No.1110 災害や盗難などで資産に損害を受けたとき(雑損控除)|国税庁

損失額が大きくてその年の所得金額から控除しきれない場合、翌年以後(3年間限度)に繰り越して、各年の所得金額から控除することも出来ます。

災害の場合、災害減免法による所得税の軽減免除とどちらか選択することも出来ます。この控除は(42)「災害減免額」の欄に記入します。

No.1902 災害減免法による所得税の軽減免除|国税庁

 

(27)「医療費控除」・・・1年間を通じてその世帯全体の医療費が、医療保険の給付金などを差し引いても10万円を超えた部分については控除してもらうことが出来ます。

または対象の医薬品を町の薬局などで購入した総額の1万2千円を超えた部分について控除してもらうことが出来るセルフメディケーション控除制度もあります。

必要な添付書類や金額の計算については国税庁HPを参考にしましょう。

No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)|国税庁

 

(28)「寄附金控除」・・・ここも第二表で既に金額などが記入されているはずなので転記しましょう。

 

(29) オレンジ色の枠で示してますがここで控除額の総額を計算します。

 

これで純利益と控除額の二つがわかったので (30)「課税される所得金額」が計算できます。

(1)から(29)を指し引いた金額ですね。そして1000円未満の額はここで切り捨てになります。

(30)に、その課税所得金額によって定められた税率を掛け合わせて税金額を計算・記入します。

所得が195万円未満の場合は税率0.05、

195万以上330万未満の場合は税率0.1、

330万以上695万未満の場合は0.2、…という具合に所得が増えるごとに税率も高くなります。

これ以上の所得がある人は下記で確認してください。

手順4 税金の計算をする|国税庁

 

(33)・・・事業を営む方が、中小企業者が機械等を取得した場合の所得税額の特別控除など、事業所得等の特例に係る税額控除の適用を受ける場合に使用します。

左側空欄に「投資税額等」、区分欄「1」と記入し、控除額を記入します。

第二表の特例適用条文等にも該当条文を記入します。

 

(34)~(40)・・・寄附金控除やローン控除などを利用する場合には、第二表への記入と併せて記入します。

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki/2019/pdf/031.pdf

令和2年分(特定増改築等)住宅借入金等特別控除を受けられる方へ|国税庁

 

(43)「差引所得税額」(基準所得税額)に改めて税額を計算して記入しましょう。 

税金控除の欄に記入がない人は(43)に(31)と同じ数字が入ります。

この金額の2.1パーセントが (44)復興特別所得税額です。

 

「差引所得税額」(基準所得税額)と復興特別所得税額を足したものが、この申告で確定する自分の納税額となります。(45)に記入しましょう。

 

(48)「源泉徴収税額」・・・第二表に記入した「所得の内訳」の最後の欄が源泉徴収税の合計でしたね。ここにそれを転記しましょう。

 

さぁ、「差引所得税額」(基準所得税額)と比べて「源泉徴収税額」は多いでしょうか?少ないでしょうか?

源泉徴収税額」は報酬を受け取るごとに予め差し引いて仮に納税してあったものです。これが実際の納税額より多い場合は還付を受けることが出来ます。反対に少ない場合は足りない分を期日までに納めなくてはいけません。

 

(43)「差引所得税額」(基準所得税額)から(48)「源泉徴収税額」を差し引いた金額を、

(49)「申告納税額」に記入しましょう。マイナスになった場合は△を数字の前に付けます。

  「申告納税額」がプラスの人は(51)「納める税金」に、

「申告納税額」がマイナスの人は(52)「還付される税金」の欄に同じ金額を記入します。

 

そして還付を受ける場合は忘れずに自分の銀行や郵便局の受け取り口座についての情報を記入しましょう。不備無く順調なら申告からひと月ほど経った頃に還付金が振り込まれます。

 

他にも紫色で塗った欄は必ず記入を、と促されていますので、記入漏れがないように注意しましょう。

 

 

 

母さんがいつもやっている確定申告のやり方はこれで終了です。

人によっては「その他欄」の項目に記入しなくてはいけないこともあるかと思います。

国や税務署から届いた書面、雇用主などとやりとりしている明細などをよく確認しておきましょう。

 

 くたびれましたか?くたびれますよね。

 毎年これがあるのです!

来年の確定申告を少しでも楽にするためにはコツコツと準備をしておくよりありません。

経験が自分を助けるようになります。一緒に頑張りましょう。