こばち母さん知恵袋

映像業界のすみっこで働く“おせっかい母さん”がそっと教えたいアレやコレ

仕事なのに仲良しにならないといけないの?

 

 

「仕事とプライベートは別なんです」
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恋愛がらみなら当然と思えますが、仕事上の人間関係においても私生活について話したがらないのか、そんな言葉を使って回避している場面を見ることがあります。それで仕事が順調なら問題ありません。正直、かっこいいと思いますし、母さんも使ってみたい台詞ではあります。
でも母さんは仕事をしているとよく「あれ?この人もしかして私のこと嫌い??」とか「なんでそれ、私には話してくれなかったの?」という思いにぶつかる事があります。
どの場面も私が相手とそんなに仲良く出来てなかった事が原因だと思っています。
 
こういう話をすると思い出してしまう、地味なのに忘れられない人がいます。
むかし勤めていた会社で新人として入ってきたNくんは、話しかけても何だか手応えのない返答しかしない人でした。不真面目ではないし仕事が出来ないわけではないのですが、どうにも覇気が無くて会話の続かない人、という印象でした。Nくんは深夜仕事が多くて、私が働く日中は主にソファで仮眠ばかりしていましたから、交流する機会も無くて、正直言って「楽しくない人だな」と私は思っていました。
特に私が嫌われていたわけではないと思います。Nくんは、ほかの誰かと談笑したり怒ったり愚痴ったりも無く、彼自身の感情や趣味嗜好を見せている様子はありませんでした。
その会社はありがちなワンマン社長の超零細企業でしたから、あっという間にNくんは社長から嫌われて、研修期間が終了しても正社員雇用されずに社会保険にも入れてもらえませんでした。
そのブラック対応にNくんも冷静に判断したのだと思います。すぐに会社を辞めてしまいました。
 
この業界は才能を重視してるように見えて意外と、仕事の能力より人柄を重視しているように思います。もちろん最初から人間を好き嫌いで分けて見ているわけではないのですが、おのずとそうなってしまうのです。
映像は建築や料理と違って材料を揃えて設計図通りに組み立てれば成功、という単純な仕事ではありません。クライアントは頼んだ仕事がどんな形に仕上がるのか?希望の形はあっても寸分違わぬ設計図を提示する事は出来ないのです。
スタッフみんなの頭の中にある設計図は其々少しずつ違っていますクライアントは自分の思い描いた通りにのものが仕上がれば当然喜んでくれるでしょうけれど、現実には別の人格を持つ人が持ち寄った設計図が似ることはあっても全く同じになる事など皆無でしょう。
クリエイティブな人ほど羅針盤が自分の趣味嗜好なのですから、そんなつもりは無くても、ついつい「気の合う人」の設計図を選んでしまうというのは必然なのです。
 
想像してみましょう。自分では選ばないようなデザインのアクセサリーでも、大好きな恋人が自分の為に選んでくれたとしたら、きっと好みと多少のズレ(多少ね)があっても喜んで使うでしょう。
でも、前々からダサいと思っていた人から渡されたら、果たして身につけるでしょうか?
ぜったい無理です。
ダサい人が選んだならダサいに決まってるのです。
 
それと同じです。
ひとつ仕事を頼むにしても、好ましく思っている部下がやってくれた成果の方が称賛したくなるものです。そして当然ですが、大抵は付き合いづらい人よりは会話が弾む人を歓迎することになります。
年配の人には特に、元気で明るい人が好まれます。
返事が元気で気持ちいいとか飲みの誘いを断らないとか…。
 
なんだよ、それ。わかりやす過ぎて、そっちの方がダサくね?
 
そう、わかりやすい人が好かれてるということはつまり、
相手はあなたのことをわかりたいのです。
あなたを理解をしたいのです。
 
 
現場のスタッフに比べてポスプロは1人でこつこつやる部分が多くて、変な言い方ですが“根暗タイプ”…最近は“陰キャとか呼ぶらしいですね…も多い仕事です。母さんも完全な陰キャ
それでも陰キャ陰キャなりに良い部分を内包しています。ジョークが面白いとか、お人好しだったり愛嬌があったり、嫌味ばかり思い付く人もそれはそれで楽しいとか、何かその人柄に惹かれる部分がある…そういう人なら信頼も得やすいでしょう。
どんな仕事でも会えば笑顔で挨拶しあう関係が理想的ですよね?
 
じゃあ嫌でもニコニコしてなくちゃいけないの?
そんなことを言いたいのではありません。
あなたの個性には必ず魅力的な部分があるはずです。
それを周囲に見せることが必要ということです。
 
そのままじっとしていても周囲には魅力はわかりづらいまま...
なんて勿体ない!
 
 
実はNくんの話には後日談があります。
Nくんは他の会社に転職を果たし、そこではとても素晴らしい活躍をしたそうなのです。
その話を人から聞かされた時、思わず私は「え?人格変わったんですか?」と失礼な事を口走りましたが、そんな様子は無いとの事。
見えてないだけでNくん本人も何かしら努力をしたでしょうし、その会社の人が過去に彼を蔑ろにした社長よりも理解力が高かったのかもしれません。ともあれ彼は、彼自身の個性を受け入れてくれる場所を得て、その能力を発揮することが叶ったのです。
とても素敵だなぁ…と驚きつつ嬉しかったことを記憶しています。
 
 
 ここでは私、なんだか誰ともうまくいってない気がする…
 
そんなふうに感じているなら、まず自分が好きな事柄について話してみましょう。
独りよがりの好みを話しても伝わりません。相手はそのジャンルにはど素人なのですから、ど素人にその魅力を教えようと思って話してみてください。
本でもゲームでもアニメでもスポーツでも、どんなふうにあなたがそれを愛しているのかが伝わった時、あなたの魅力も相手に伝わっています。
その個性を知ってもらうことが仕事が円滑に進むことに繋がっています。
 
それともう一つ大切なこと。
相手が好きな事柄についても、きちんと聞いてあげましょう。
理解不能と思ったら質問すれば良いのです。誘われて嫌なら失礼にならない言い方で正直に断って良いのです。あなたの個性を理解した人は自分の趣味嗜好に合わせれる人かどうか理解してくれているはずです。ペットの話ばかりする先輩が少しだけ可愛く見えたり、推しのチームが負けた朝は不機嫌な人に対しても理由を知っていれば平気だったり、あなたも少し楽になるのでは?
                          
 お互いに相手の大事にしている部分がわかれば、仕事をしていく上でも人間関係はスムーズに進むはずです。
 
怖がらずに、
ちょっとづつで良いですから、

 

あなたの事を話してみてください。
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